源真ゴシック (げんしんゴシック)
源真ゴシック (げんしんゴシック) は、フリーの OpenType フォントである「源ノ角ゴシック (Noto Sans CJK / Source Han Sans の日本語部分)」を TrueType 形式に変換し、普段使いにおける使い勝手を重視したカスタマイズを施した派生フォントです。
目次
フォントの概要
ベースの「源ノ角ゴシック」は、Adobe と Google が共同で開発し、2014 年 7 月に新たに公開したフォントで、7 つのウエイト、3年をかけて制作された美しく汎用性に優れたタイプフェイス、オープンで自由な SIL オープンフォントライセンスを兼ね備えていることが特徴です。
非常に有用なフォントですが、公式で提供されているのは OpenType フォーマットであり、その機能を充分に活かすことができるアプリケーションソフトウェアは、高級なグラフィックソフトなど、非常に限られます。
そこで、さまざまなアプリケーションソフトウェアで扱いやすい TrueType 形式に変換しました。さらに、行間などのパラメーター設定を Office などの一般で使用されているアプリケーションでも扱いやすいように、M+ OUTLINE FONTS に合わせました。そのほか、かなや一部記号をプロポーショナル (可変幅) にしたもの、およびすべて文字を等幅にしたものも用意し、OpenType のプロポーショナルメトリクスなどに対応しない環境でも、柔軟に使用できるようにカスタマイズしました。
源ノ角ゴシック (Ver.1.002) との違い
- ライセンスに基づき、フォント名を「源真ゴシック」に変更しました。
- TrueType 形式に変換しました。これにより、たとえば PowerPoint ではスライドへのフォント埋め込みができるようになります。
- 行間の設定を M+ OUTLINE FONTS 相当にし、Microsoft Office や LibreOffice など行間の影響を受けやすいアプリケーションでの使い勝手を向上させました。
- Microsoft Office や LibreOfficeなどのアプリケーションで、縦書きが正常に機能するようになりました。
- Photoshop や Illustrator などの Adobe 製アプリケーションで、バウンディングボックスの縦幅が異常な高さにならないように調整しました (参考ブログ記事 →ものかの - Illustrator で Source Han Sans のバウンディングボックスが縦長になる理由)。
- 源ノ角ゴシックにない文字を、同等の太さを加工した M+ OUTLINE FONTS を合成することで補いました。
- かな文字や一部全角記号をプロポーショナル (可変) 幅にしたファミリー「源真ゴシックP」を追加しました。
- すべての文字を等幅にしたファミリー「源真ゴシック等幅」を追加しました。半角文字は、原版の源ノ角ゴシックに含まれている等幅半角字形を使用しています。
- 「〱」「〲」の縦幅を1文字分にしました。
- 和文のプロポーショナル幅は独自設定のため、もとのプロポーショナルメトリクスとはある程度異なります (もとより少し狭めです)。また、和文はペアカーニングに対応していません。
- 「ウェブから豆腐 (と呼ばれる文字化け) をなくす」ことを目的としている Noto フォントと異なり、本フォントでは完全に日本語に特化しており、多言語対応を想定していた部分は切り捨ててしまっています。たとえば、もとのフォントに中途半端に含まれていた「注音符号」や「半角ハングル文字」は削除してしまっています。
使用例
プロポーショナルフォントを使うとパワポの印象も変わります
かなや一部記号の文字幅をプロポーショナル (可変) 幅にした「源真ゴシックP」が含まれます。これは別のフォントファミリーとなっており、アプリケーション側に特殊な機能を要求しないため、どんなソフトウェアや環境においてもプロポーショナル幅を活用することができます。
たとえば「源真ゴシックP」を PowerPoint のスライドの見出しなどに使用すると、文字幅が詰まるので、印刷物のような引き締まった印象を与えることができます。
かなが等幅 (源ノ角ゴシック / 源真ゴシック) | かなもプロポーショナル (源真ゴシックP) |
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等幅フォントのテキストエディタでの使用例 (テキストエディタ Mery)
すべての文字幅を等幅にした「源真ゴシック等幅」が含まれます。これにより、テキストエディタでも活用することができます。半角文字は、源ノ角ゴシックに含まれている半角等幅字形をそのまま使用しています。
※ゼロ「0」のスラッシュ入りや、コーディング可読性、より狭い行間を要求する場合は、MigMix や Migu などの作者である伊藤ひろ氏によって本フォントから派生して作成された Nasuフォント というフォントもお試しください。
下のスクリーンショットは、テキストエディタ Mery と MacType を組み合わせた表示例です。Mery は DirectWrite の設定を変更することでも美しいアンチエイリアスの表示が可能です。
ウェブ閲覧用フォントとしての使用例 (Firefox + DirectWrite)
源真ゴシックは、システムフォントや、ウェブ閲覧用のフォントとしての使い勝手も考慮しています。Windows では Firefox と DirectWrite の隠し設定 (参考記事 : Windows の Firefox でフォントが汚かったので直した) を組み合わせることで、Mac OS X や Linux ではそのままで、源ノ角ゴシック由来の美しい文字でウェブを快適に閲覧することができます。
さらに、これらの環境では、ページの内容に応じて 7 つから適切なウエイト (文字の太さ) が選択されますので、太字や見出しなどが組み合わさったサイトもメリハリある美しい表示となります。
ライセンスと著作権について
- 源真ゴシックは源ノ角ゴシックを改変して制作したもので、M+ OUTLINE FONTS 由来の文字グリフも一部含みます。
- フォントデータに含まれる、源ノ角ゴシック由来の文字グリフの著作権は Adobe が所有しています。
- フォントデータに含まれる、M+ OUTLINE FONTS 由来の文字グリフの著作権は M+ FONTS PROJECT が所有しています。
- 源真ゴシックのフォントファイルは、源ノ角ゴシックと同じ SIL Open Font License 1.1 のもとで使用することができますので、商用利用などにおいても特に制約なくお使い頂けます。詳しくはフォントのライセンスのページをご覧ください。
ダウンロード
7-zip, または zip の圧縮形式が選べますが、どちらをダウンロードしても中身は同じです。OSDN.JP の日本ミラーサイトからダウンロードしますが、もしうまくいかない場合は ミラーサイト1 (OneDrive) またはミラーサイト2 (Googleドライブ) からのダウンロードをお試しください。
※ 2015/6/3 に最新版 (1.002.20150531) にアップデートしました。
※ 上記バージョンで縦書きが機能しない不具合があったため、2015/6/7 に修正版 (1.002.20150607) にアップデートしました。7-zip 形式でダウンロード
解凍には 7-zip 形式に対応した解凍ソフト (Windows は 7-zip、LhaForge、Lhaz、CubeICE、ExpLzh (個人利用のみ無償) など、Mac OS X は The Unarchiver、Keka など) が必要ですが、ダウンロードサイズが大幅に小さくて済みます。
zip 形式でダウンロード
ほとんどの環境で何もソフトを入れずに解凍することができますが、圧縮率が高くないのでダウンロードサイズがとても大きいです。